はじめに
2022年度、私は上海日本人学校に入職することが決まりました。しかし、その年の春、上海はロックダウンの真っ只中にあり、実際に現地へ赴くことはできず、日本からオンライン授業を行うこととなりました。本記事では、着任が決まってから実際に渡航し、学校での教育活動を始めるまでの期間について振り返ります。

上海日本人学校への着任が決まるまで
上海日本人学校への入職のきっかけは、オンラインでの勉強会で知り合った方のご推薦でした。以前から国際的な環境での教育に関心を持っていた私は、海外での指導に興味を持ち、応募を決意しました。詳しくは、https://morimath.com/年度末での日本人学校の採用/ を書きましたので、読んでいただくと嬉しいです。
採用が決まったものの、2022年の上海は新型コロナウイルスの影響で厳格な行動制限が敷かれており、すぐに渡航することは叶いませんでした。そのため、日本からオンライン授業を開始することとなりました。

ビザ取得と渡航準備
3月に応募が決まり、4月にはビザ取得のためにさまざまな書類を集める必要がありました。中国での就労ビザを取得するには、指定病院での健康診断(体格検査)や無犯罪証明書の取得、学位証明書の提出など、多くの手続きが必要でした。これらの書類を揃える作業は想像以上に手間がかかり、オンライン授業の合間を縫って進めることとなりました。
また、ビザの申請は学校が薦める代行業者である日新航空サービスにお願いしました。約2万円ほど代行手数料を払いましたが、それだけの安心感がありました。

渡航前の生活と家族との時間
5月には、当時住んでいたアパートを引き払い、実家へ引っ越しました。ビザの手続きやオンライン授業をこなしながらの引っ越しは大変でしたが、家族と過ごす時間が増えたことで精神的な安定を得ることができました。
また、渡航前の限られた時間の中で、祖父と食事に行く機会を持つことができました。久しぶりにゆっくり話すことができ、海外赴任を前にした私にとって貴重な時間となりました。
オンライン授業と上海の状況」
2022年4月から8月まで、日本から上海日本人学校の生徒に向けてオンライン授業を行いました。新しい学校での勤務にもかかわらず、生徒と直接会えない状況は大きな挑戦でした。
授業では、生徒の集中力を保つために工夫を凝らしました。画面越しでも双方向のコミュニケーションを意識し、チャット機能を活用したり、クイズ形式の問題を出したりしました。オンライン授業の方法については、https://morimath.com/高校数学オンライン授業-2022年度版/ で紹介していますので、読んでいただくと嬉しいです。
オンライン授業を続ける中で、生徒たちの適応力の高さにも驚かされました。最初は慣れない環境に戸惑いを見せる生徒もいましたが、次第にオンラインでも積極的に発言し、意欲的に学習に取り組むようになりました。
当時の上海ではロックダウンが続いており、現地に住んでいる先生方も大変な状況にありました。しかし、そんな中でも私たち赴任者への気遣いを忘れず、オンラインでの打ち合わせやサポートをしてくださったことに、今でも感謝しています。
また、上海の生徒たちはロックダウンによる外出制限が長引き、精神的に不安定になることもありました。そのため、授業では教科の内容に加え、雑談の時間を設けたり、授業以外でも生徒からの質問に対応したりすることで、少しでも安心できる環境を提供できるよう努めました。

渡航と隔離生活
8月になり、ついに渡航の準備を進めることができました。しかし、中国入国には厳しい制約がありました。渡航前2日間に指定された病院でPCR検査を受け、陰性証明を取得する必要がありました。また、上海での隔離生活が環境として整っていないため、私は天津経由で入国することとなりました。
私が学校から支給された航空券では、私を含め3名の同僚が渡航する予定でしたが、そのうち1人が陽性となり、後日渡航することになりました。今では考えられませんが、成田ー天津の片道フライトは約30万円ほどでしたので、私は陽性にならずに渡航できたことに安堵しました。
天津空港に到着すると、PCR検査や入国審査を受けました。そのとき、空港の職員が完全防備で対応しており、まるで自分が病原菌のように扱われているように感じました。空港を出ると、同じ飛行機に乗っていた乗客が集められ、バスでホテルに移動しました。飛行機で同乗していた同僚と一緒に行動できたので、不安はありましたが、とても心強く感じました。

天津でのホテル隔離は10日間でした。滞在した部屋は一人で泊まるには贅沢なほどの広さでしたが、清掃が入らなかったため、最後の方は部屋の清潔さが気になりました。食事も毎日部屋の前に弁当が置かれましたが、10日間中華料理が続いたため、日本から持ってきたふりかけやレトルトカレーに助けられました。また毎日指定された時間に体温報告やPCR検査を受け、陽性反応が出ないことを願い続けていました。




上海での新たなスタート
隔離期間を終え、天津から高速鉄道(高鉄)を利用してようやく上海に到着。航空券や高速鉄道の手配などは事務職員が行なってもらったので、入職することの大変さや責任を感じると一方でいろいろな方に支えられたことに感謝しています。
ここから、本格的な対面授業がスタートします。生徒たちとの直接の対話や、教室でのやり取りを通じて、オンラインでは得られなかった学びや気づきが数多くありました。
次回の記事では、上海での教育活動が本格的に始まった後の授業づくりや、生徒たちとの関わりについて振り返っていきます。
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