10月模試の位置づけ
高校2年の10月進研模試(ベネッセ総合学力テスト)は、6月模試からの学習定着度を測る重要な節目となります。この時期の模試には以下の特徴があります。
主な特徴
出題範囲の大幅な拡大 数Ⅰ・Aの復習内容と数Ⅱ・B/Cの発展的内容を融合した問題構成となります。
記述式による総合的評価 すべて記述式で実施され、途中式や理由を明確に記述する力が必須となります。
総合的な学習負荷の増加 理科・社会が同日に加わり、時間管理と体力的な負荷が大幅に増加します。
履修パターンによる出題の違い
- A方式:数Ⅱ・数A中心の作問
- B方式:数Ⅱ・数B(またはC)中心の作問
出題範囲と重点単元
数学Ⅰ
- 二次関数:最大・最小、平方完成、グラフの平行移動
- 二次不等式:解の範囲、連立不等式
- 集合と論理:記号の意味、補集合、命題と対偶
数学A
- 順列・組合せ:典型問題と文章題への応用
- 確率:余事象、条件付き確率、確率の加法・乗法定理
数学Ⅱ
- 三角関数:基本公式、加法定理、三角形の面積公式
- 指数関数:指数法則、グラフ、方程式・不等式
数学B(またはC)
- 数列:等差・等比、漸化式、和の公式の活用
- ベクトル:成分表示、内積と図形、垂直・平行条件
直前指導の重点ポイント
優先度を明確化した復習戦略
第一優先:新規学習内容の完全定着 三角関数・指数関数など、2学期に学習した新規内容の基本事項を確実に定着させます。
第二優先:発展内容の理解深化 数列・ベクトルなど、2学期前半で学習した内容の応用力を強化します。
第三優先:既習内容の弱点補強 数Ⅰ・Aの苦手単元(二次不等式、確率など)を重点的に復習します。
記述力の体系的強化
10月模試では解答だけでなく、論理の流れや途中式の正確さが重要な採点基準となります。授業では「公式の確認 → 値の代入 → 計算過程 → 結論の明示」の順序で整理し、部分点を確実に獲得する記述方法を練習します。
実戦形式演習の充実
時間管理能力の育成 試験時間は100分ですが、問題分量は高1より大幅に増加します。大問ごとに制限時間を設定し、演習中に時計を確認しながら取り組む習慣を身につけさせます。
部分点獲得戦略 解けなかった問題についても、必ず「途中までの考え方や計算過程」を記録し、部分点を狙う姿勢を徹底します。
授業での具体的工夫
基礎力の継続的確認
授業冒頭5分の公式確認小テストを実施し、三角関数・指数・数列・ベクトルの基本事項を定着させます。
表現力の向上
ペアでの解法説明練習により、数学的な知識を正確に言語化する能力を育成します。
自己分析力の強化
模試当日に備え、問題用紙への解答記入から自己採点までの一連の流れを習慣化します。
データ活用による指導改善
Googleフォームを活用し、自己採点結果と反省内容の提出を義務付け、個別指導と授業改善の資料として活用します。
模試後の効果的な活用
模試の返却は約1か月後となりますが、当日中の自己採点と振り返りが極めて重要です。記憶が鮮明なうちに弱点を明確化し、類題演習を実施することで、1月模試に向けた具体的な学習課題として蓄積していきます。
継続的な改善サイクル
模試結果を基に個別の学習計画を調整し、クラス全体の指導方針も必要に応じて修正します。この継続的な改善により、受験学年への準備を着実に進めることができます。
まとめ
10月模試は夏から秋にかけて学習した内容の完成度を測る重要な機会であり、数Ⅰ・Aと数Ⅱ・B/Cの橋渡しとなる単元を重点的に確認することが得点向上の鍵となります。
この時期の指導では、単なる知識の習得にとどまらず、記述力と時間管理能力を含めた総合的な数学力の育成を目指し、一人ひとりの生徒が着実に成長できる環境を整えることが重要です。
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