6月模試の位置づけ
高校2年生の最初の模試は、1年間の学習ペースを確認する重要な指標となります。高1で学んだ数Ⅰ・数Aの定着を測るだけでなく、数Ⅱ・数B/Cの前半内容が加わり、問題の難易度も一段階上がります。
ベネッセ総合学力テストはすべて記述式で、思考過程や途中式の正確さが得点に直結します。そのため直前期は正答率の高い基本問題の取りこぼしを防ぐことが最優先となります。
出題範囲の確認(数Ⅱ+数B/C)
6月段階では、学校の進度に合わせて以下の単元を重点指導します。 ※履修パターン(A方式:数Ⅱ+数A、B方式:数Ⅱ+数B/C)に応じて調整します。
数学Ⅱ
- 多項式の計算(展開・因数分解・たすき掛け)
- 高次方程式の解法(因数分解・置換)
- 図形と方程式(円の方程式は基礎程度)
- 二次関数の最大・最小
- 一次・二次不等式
数学B
- 数列(等差・等比・漸化式の基礎)
- ベクトルの基本(内積の定義まで)
数学C(選択者)
- 複素数平面の基礎(四則計算、絶対値、偏角)
数学A(A方式履修者)
- 集合と命題(補集合の記号を含む)
- 場合の数(順列・組合せ)
直前2週間の学習戦略
必ず押さえるべき「確実に取る」問題
以下の分野は確実な得点源として重点的に対策します:
- 高1内容(展開・因数分解・一次不等式・順列組合せ)
- 二次関数の標準形と最大最小
- 数列の基本計算問題(等差・等比の一般項)
- 集合の演習(補集合、ド・モルガンの法則)
過去のベネッセ総合学力テストの出題傾向を見ると、配点の4~5割は基本レベルです。ここを確実に取ることが偏差値55~60への最短ルートとなります。
弱点補強の戦略
「解けそうで解けない」問題を重点的に復習します。自力で途中まで進められても詰め切れない問題については、原因分析(公式の暗記不足、式変形の不正確さ、定義の曖昧さ)を明確にします。
苦手単元は「10分スモール演習」で短時間集中学習を行います。
- 例:因数分解だけ5問連続、順列だけ5問連続
模試前の授業での具体的指導法
自己採点力を高める演習
模試は返却に約1か月を要するため、当日中に振り返る力が重要です。
- 授業で行う演習では、問題用紙に自分の解答を記録する習慣を徹底します
- 模試当日も、余白に考え方や途中式を残すよう指導します
Google Formによる即日フィードバック
模試終了後、Google Formで自己採点結果・得点予想・反省コメントを入力させます。「できたつもり」や「ケアレスミス」の原因を翌週の授業で共有し、次の模試や定期考査に反映させます。
試験当日のアドバイス
時間配分の戦略
- 前半30分:基礎問題を全問処理
- 中盤40分:中難度問題に集中
- 後半30分:難問への挑戦や見直しに充てる
解答戦略
捨てる勇気を持つ:高得点者でも難問は部分点狙いとし、無理に時間をかけないことが重要です。
途中式は必ず記述:記述式では途中式の配点が大きく、最終解答が間違っていても得点が期待できます。
模試後の授業改善への活用
データ分析による指導の改善
Google Form集計により、クラス全体の弱点単元を可視化します。
- 例:順列の誤答率が高い場合、7月前半に復習時間を設定
個別対応の充実
- 高得点者には難易度の高い課題を追加
- 低得点者には基礎補強プリントを配布
模試結果は個人の指導計画とクラス全体の授業設計の両方に反映させ、継続的な改善を図ります。
まとめ
6月のベネッセ総合学力テストは、高2の学習ペースを確認し、基礎固めの遅れを早期に発見する重要な機会です。返却まで1か月を要することを踏まえ、自己採点→弱点補強→授業改善の流れを直後から実行することが、秋以降の得点力向上につながります。
この模試を単なる実力測定ではなく、学習改善のためのツールとして最大限に活用し、生徒一人ひとりの数学力向上を支援していくことが重要です。
コメント