青チャートを使っている高校生から、よく聞かれる質問があります。
「青チャートは、いつまでに終わらせればよいのでしょうか」
「大学受験までに何周すればよいのでしょうか」
青チャートは問題数が多いため、最初から最後まで一気に進めようとすると、途中で止まりやすい参考書です。一方で、思い出したときに少しずつ解くだけでは、自分がどこまで学習したのか分からなくなります。
そこでおすすめしたいのが、青チャートを年間学習のバロメーターとして使う方法です。
授業期間中は、教科書と並行して対応する例題を確認します。そして、夏休みなどの長期休暇や、学校行事・入試によって授業が進みにくい期間を利用し、その時点までに学んだ範囲を一度やり切ります。
青チャートを何周したかだけを競うのではありません。この時期までに習った内容について、青チャートのどこまで取り組めているかを基準にします。この基準を持つことで、自分の学習進度と積み残しを確認できます。
本記事では、授業期間を「0周目」、既習範囲をまとめて演習する期間を「1周目」と考え、青チャートを年間の中でどのように使うか紹介します。
青チャートを終わらせる時期に、全員共通の正解はない
青チャートをいつまでに終わらせるべきかは、学校のカリキュラムによって異なります。
数学Ⅰ・A、数学Ⅱ・B・C、数学Ⅲを学ぶ時期は学校によって違います。高校2年生までに多くの範囲を終える学校もあれば、高校3年生まで教科書の学習が続く学校もあります。文系と理系でも、必要となる範囲は異なります。
そのため、「高校1年生の夏までに何ページ」「高校2年生の冬までに何冊」と、全国共通の期限を決めるのは適切ではありません。
一方で、学校の進度に関係なく使える基準があります。
それが、長期休暇や年間の節目までに、その時点の既習範囲をやり切るという考え方です。
ページ数ではなく、学校でどこまで学習したかを基準にします。授業で習った範囲に演習が追いついているかを、青チャートで確認するわけです。
授業期間は、教科書と並行する「0周目」
普段の授業期間中に、青チャートを最初から順番にすべて解く必要はありません。
まずは授業を受け、教科書で定義・公式・基本的な考え方を理解します。そのうえで、学校指定の問題集を使って演習します。
問題集を解く中で、教科書では十分に扱われていない問題や、解法が分からない問題に出会ったら、青チャートの対応する例題を確認します。解説で考え方を理解した後は、参考書を閉じて例題を解き直し、元の学校問題集へ戻ります。
余裕があれば、青チャートの類題や、もう少し難しい問題にも取り組みます。
この授業期間中の学習を、本記事では「0周目」と呼びます。
0周目とは、授業の進度に合わせて必要な箇所に触れ、後の1周目に備える期間です。全問演習することが目的ではありません。
学習の流れは、次のようになります。
- 授業と教科書で新しい内容を学ぶ
- 学校指定の問題集を解く
- 分からない解法を青チャートで確認する
- 解説を閉じて例題を解き直す
- 学校問題集の元の問題へ戻る
- 余裕があれば類題・応用問題へ進む
授業期間中にこの使い方を続けていれば、長期休暇の1周目も、すべてが初めて見る問題にはなりません。
長期休暇には、既習範囲を一度やり切る
授業が進んでいる間は、教科書・学校問題集・小テスト・定期考査など、取り組むべきことが多くあります。青チャートの既習範囲をまとめて演習するなら、長期休暇が適しています。
夏休み、冬休み、春休みなどの節目に、その時点までに習った範囲を最初から最後まで解きます。これが、本格的な演習としての「1周目」です。
0周目では必要な問題を選んで使いましたが、1周目では、対象とした既習範囲の問題に一度はすべて向き合います。
全問に取り組むことには、次の意味があります。
- 自分の判断で避けていた問題にも触れられる
- 忘れている公式や解法を発見できる
- 得意な単元と苦手な単元を把握できる
- 教科書で学んだ内容を演習まで含めて完結できる
- 次の学期へ持ち越す未着手の問題を減らせる
- 一つの範囲をやり切った経験が自信になる
ただし、1周目で全問を完璧に解ける必要はありません。
まず自力で考え、解けなければ解説を読みます。考え方を理解したら白紙から解き直し、それでも難しい問題には印をつけて先へ進みます。
「すべての問題を正解できるまで、その場から動かない」のではなく、「すべての問題に一度は向き合い、最後まで到達する」ことを優先します。
高校1年生の夏休みは、すぐ終わってもよい
高校1年生の夏休みでは、まだ学習範囲がそれほど広くない学校もあります。その場合、1学期までの既習範囲を数日で終える生徒もいるでしょう。
それで構いません。
長期休暇の数学学習は、休みの期間を青チャートだけで埋めることが目的ではありません。その時点までに学んだ内容を、演習まで含めて一度完結させることが目的です。
既習範囲をやり切ったら、印をつけた問題を解き直してもよいですし、英語や国語など、ほかの教科に時間を回してもよいでしょう。余裕がある生徒は、類題や発展的な問題へ進むこともできます。
早く終わったことは、計画が軽すぎたという意味ではありません。高1の早い段階で、決めた範囲を最後までやり切る経験を積めたことに価値があります。
冬休みだけで終わらせようとしない
夏休みに比べて、冬休みは短いです。年末年始の予定もあり、秋以降の既習範囲をすべて冬休みに回すと、計画が苦しくなることがあります。
そこで活用したいのが、年間に点在する「授業が進みにくい期間」です。
- シルバーウィークなどの連休
- 文化祭や体育祭などの学校行事の前後
- 定期考査後の期間
- 学校入試に伴う家庭学習日
- 学年末考査後から終業式までの期間
- 春休み前後の授業が少ない期間
もちろん、文化祭の準備期間は、生徒にとって普段以上に忙しい場合もあります。その期間に大量の問題を課すという意味ではありません。
授業が通常どおり進みにくいときに、短い単元や未完了の範囲を少しずつ回収します。冬休みだけに演習を集中させず、複数の節目へ分散させることが大切です。
授業が進みにくい時期を、演習が授業に追いつく時期にする。
この考え方を持つと、学校行事の多い2学期にも、数学の学習を止めずに済みます。
年間の学習計画を立てる
一般的な3学期制を想定すると、青チャートの年間計画は次のように整理できます。
| 時期 | 青チャートの使い方 | 到達目標 |
|---|---|---|
| 1学期 | 教科書と並行して必要な例題を確認する | 授業内容と代表的な解法を結びつける |
| 夏休み | 1学期までの既習範囲を全問演習する | 既習範囲を一度やり切る |
| 2学期前半 | 新しい範囲を教科書と並行して進める | 新しい解法を随時確認する |
| 秋の連休・行事期 | 夏休み以降の既習範囲を部分的に回収する | 冬休みへの積み残しを減らす |
| 冬休み | 2学期までの既習範囲をやり切る | 秋までの学習内容を整理する |
| 3学期・入試期間 | 新しい範囲と未完了部分を演習する | 学年末までに演習を追いつかせる |
| 春休み | 1年間の既習範囲を確認する | 次学年に未着手の範囲を残さない |
これはあくまでも一例です。実際には、学校の授業進度、定期考査、部活動、学校行事の日程に合わせて調整してください。
大切なのは、春休みに慌てて一冊すべてを終わらせようとするのではなく、年間を通じて既習範囲を少しずつ完成させることです。
「やり切る」と「完璧にする」は違う
青チャートを最後まで進められない原因の一つが、最初から完璧を求めることです。
難しい問題に出会うたびに、完全に理解できるまで何時間も止まっていると、予定した範囲を終えられません。反対に、解説を写しただけで完了にすると、やり切ったことにはなりません。
1周目では、問題の状態を簡単に記録するとよいでしょう。
- ○:何も見ずに自力で解けた
- △:方針は立ったが、途中で止まった
- ×:方針が立たず、解説を確認した
- ★:重要だと感じた問題、もう一度解きたい問題
長期休暇で目指すのは、まず未着手の問題をなくすことです。
○の問題まで何度も解き直す必要はありません。△・×・★の問題は、次の連休や定期考査前、模試の復習時に戻ります。
このように考えれば、全問に取り組むことと、すべての問題を同じ回数だけ繰り返すことを区別できます。
予備校の講習を受けない生徒にもできる学習法
長期休暇には、予備校や塾の講習を受ける生徒もいます。講習には、重要事項を整理してもらえることや、決められた時間に勉強できること、質問できる環境があることなどの利点があります。
一方で、費用、地域、日程、部活動などの事情によって、すべての生徒が講習を受けられるわけではありません。そのような生徒にとって、青チャートを使って既習範囲をやり切ることは、長期休暇の学習の軸になります。
最初に対象範囲を決め、問題数を学習日数で割り、毎日の目標を設定します。分からなかった問題に印をつけ、質問できる機会があれば学校の先生などに確認します。最後に定期考査、模試、実力テストなどで定着を確かめます。
予備校の講習を受けることだけが、長期休暇の受験勉強ではありません。また、講習を受けた場合にも、自分で問題を解く時間は必要です。
大切なのは、どこで学んだかではなく、休暇が終わるまでに何を自力で解けるようになったかです。
教科書が終わった後は、過去問から青チャートへ戻る
教科書の学習を終え、青チャートの全範囲に一度取り組んだ後は、同じ順番で何周も繰り返す必要はありません。共通テストや志望大学の過去問、模試などを解きながら、解けなかった問題に関連する例題・類題へ戻ります。
- どの単元の知識が不足していたか
- どの典型的な解法を思いつかなかったか
- 青チャートのどの例題とつながっているか
- 同じ考え方を使う類題には何があるか
これらを確認し、必要な問題を選んで解き直します。青チャートを最初からもう一度機械的に解くのではなく、過去問を起点に必要な箇所へ戻る学習です。青チャートが、演習問題集から「解法の地図」へ変わる段階ともいえます。
青チャートを年間学習のバロメーターにする
青チャートの価値は、掲載されている問題の多さだけではありません。高校数学の代表的な内容が広く整理されているため、自分の学習状況を確認する基準として使えます。
長期休暇や年間の節目に、次の点を確認します。
- 学校で習った範囲まで青チャートに取り組めているか
- 未着手の問題が残っていないか
- 解説を読んだだけの問題が多くないか
- 自力で解ける問題が増えているか
- 模試や過去問から関連する例題へ戻れているか
「青チャートを何周したか」という数字だけでは、理解度は分かりません。
一方で、「忘れた頃にやり直せばよい」と考えるだけでは、復習の時期が曖昧になります。気づいたときには、既習範囲が大量に積み残されていることもあります。
そこで、夏休み、秋の連休、冬休み、入試期間、春休みなどに到達目標を置きます。この時期までに、既習範囲は一度やり切っておく。この基準があれば、青チャートは単なる参考書ではなく、年間学習の進度と定着度を測るバロメーターになります。
まとめ|長期休暇ごとに既習範囲を完成させる
青チャートをいつまでに終わらせるかは、学校の授業進度によって異なります。全国の高校生に共通する一つの期限があるわけではありません。
ただし、年間の節目ごとに目標を置くことはできます。
授業期間中は、教科書や学校問題集と並行して必要な例題に触れます。長期休暇には、その時点までの既習範囲を一度やり切ります。冬休みが短い場合は、シルバーウィーク、学校行事の前後、定期考査後、入試に伴う家庭学習日なども利用して、演習を分散させます。
1周目では完璧を求めすぎず、すべての問題に一度は向き合って最後まで到達することを優先します。そして、教科書終了後は、模試や過去問で見つかった弱点に応じて、必要な例題や類題へ戻ります。
高1の夏休みに既習範囲がすぐ終わっても構いません。短い範囲でもやり切る経験を積み、そのサイクルを冬、春、高2へとつなげることに意味があります。
青チャートは、思い出したときだけ開く教材ではありません。
「この時期までに、ここまでは終えておきたい」という年間の基準をつくり、授業で学んだ内容を演習まで含めて積み残さないために活用していきましょう。
前回の記事では、青チャートの例題を、解説を読んで終わらせず、白紙から解き直す方法を紹介しました。あわせて読むことで、年間計画の中で一問一問をどのように学習すればよいか、より具体的に整理できます。


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