甲子園で、今いる場所を考えた

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甲子園で出会った、懐かしい景色

先日、前任校の応援で甲子園に行ってきました。昨年度まで働いていた学校が甲子園に出場することになり、せっかくなら直接応援したいと思い、久しぶりに以前の先生方や生徒たちの姿を見に行きました。私自身、それ以前に勤務していた学校には野球部がなかったこともあり、甲子園で自分が勤務していた学校を応援するというのは、一生に一度あるかないかの経験かもしれない、という思いもありました。甲子園という特別な場所で、懐かしい人たちが一つになって応援している姿を見ていると、自然と去年までのことを思い出しました。

前任校は、本当に恵まれた環境だったと思います。学校としての仕組みが整っていて、大学とのつながりも強い。 生徒たちにさまざまな経験をさせることができる環境があり、自分自身も多くのことを学ばせてもらいました。

当日は、以前お世話になった先生とも少しお話しすることができました。自分が関わった生徒たちが、今もいきいきと学校生活を送っていることを聞き、とても嬉しく思いました。そして、冗談半分やお世辞もあったのかもしれませんが、「また戻ってきてほしい」という言葉をかけてもらったときには、正直、少し心が揺らぎました。

スタンドでは、以前担任していた生徒たちの姿も見かけました。現任校の生徒とSNSなどでつながっている人もいるようだったので、こちらから声をかけることはしませんでした。ただ、少し離れたところからその姿を見ながら、「成長したなあ」と感じました。一緒に過ごしたのは、たった一年です。それでも、その一年の中には、授業や行事、日々の何気ないやり取りなど、たくさんの思い出があります。生徒たちの姿を見ているうちに、自分がそこで過ごした一年間を、とても懐かしく思いました。甲子園で応援しながら、「自分は、どうしてこの学校を離れたんだろう」と、改めて考えていました。そして、そこで思い出したのは、今の学校でやりたいことでした。

高校と大学の架け橋になりたい

自分が教員になった理由の一つに、高校と大学の学びをつなぐ存在になりたいという思いがあります。もともとは数学が好きで、その面白さを生徒に伝えたいと思って教員になりました。ただ、授業をしていく中で、数学を「入試のための科目」だけで終わらせたくないという気持ちが強くなっていきました。高校で学んでいることが、大学ではどのようにつながっていくのか。数学は、日々の生活や社会とどのようにつながっているのか。大学で学ぶことや研究することを、高校生のうちから少しでも身近に感じてもらえないか。高校と大学の間にある大きな段差を、少しでも小さくできないか。そんなことを考えるようになりました。

前任校にも、それを実現できる環境はありました。 それでも自分が環境を変えたのは、別の場所で、自分なりの「高校と大学の架け橋」をつくってみたいと思ったからでした。

今の学校にも、大学とのつながりを生かせる可能性があります。高校生と大学の先生がつながる機会をつくる。大学で行われている研究や学問を、高校生に届ける。高校で学んでいることが、その先の学びにどうつながっているのかを見せる。数学だけに限らず、探究やICT、AIなども含めて、高校と大学がもっと自然につながる仕組みをつくれたら面白い。そういうことをやってみたいと思って、今の場所を選んだのだと改めて思いました。

そして、もう一つ。自分が生まれ育った地域に近い場所で働きたい、という思いもありました。自分自身のライフステージや家族との時間も、大切にしたいと考えていました。仕事で何をしたいのか。どこで、どのように暮らしたいのか。その両方を考えた末に選んだのが、今の場所だったのだと思います。

目の前の仕事と、忘れかけていた原点

もちろん、実際に働き始めると、毎日は目の前の仕事でいっぱいになります。授業、担任、部活動、学校行事。日々の仕事をこなしているうちに、「自分はここで何をしたかったんだろう」ということを忘れそうになることもあります。

そんな中で、前任校の甲子園出場を応援しに行ったことは、自分にとって思いがけない振り返りの時間になりました。前の学校が嫌で離れたわけではありません。むしろ、とても良い環境だったからこそ、離れたことを惜しく感じる瞬間もあります。

それでも、そこを離れて新しい場所を選びました。だからこそ、今の場所でやりたかったことを、少しずつでも形にしていきたいと思いました。前任校で経験したことを、今の学校でどう生かすのか。そして、今の学校だからできることを、何につなげていくのか。甲子園のスタンドで応援しながら、そんなことを考えていました。

過去を糧に、今いる場所で

環境を変えると、以前いた場所の良さがよく見えるようになります。同時に、なぜ自分が新しい場所を選んだのかも、少しずつ見えてくるのかもしれません。まだ、具体的に何か大きなことができているわけではありません。ただ、高校と大学の架け橋になる。これは、今の自分がもう一度大切にしたいテーマです。まずは日々の授業から。そして、自分にできるところから少しずつ。甲子園に行ったことで、前任校への思いと、今の場所でやりたいことを、改めて確認することができました。過去を懐かしむだけではなく、そこで得たものを、今いる場所につなげていく。そんな仕事をしていきたいと思います。

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